*
*
* *

バイアグラ®とは?|ED(勃起不全)治療の薬理メカニズム

EDの経口薬について解説します。

院長:山本(医師)監修

1)バイアグラ®とは?ED治療の薬理メカニズム

2)レビトラ®について

3)シアリス®について

 

バイアグラ®とは?|ED(勃起不全)治療の薬理メカニズム

 

(目次)

1)そもそも勃起はどんなメカニズムで起きるんだろう?
2)どうしてED(勃起不全)になってしまうんだろう?
2)どうしてED(勃起不全)になってしまうんだろう?
4)ED(勃起不全)の他の治療法にはどんなものがあるのだろう?
5)まとめ

 

(はじめに)

バイアグラ®という薬を聞いたことがあるでしょうか? バイアグラ®とは有名なEDの治療薬で、EDに対して最もよく使われています。 もしかしたらこの記事を読んでくださっている方の中にはバイアグラ®を使ったことがある人や、これから使おうとしている方がいるかもしれません。

 

viagra

 

使ったことがある方もそうでない方も薬を使う時には、どうしてその薬が効くのかを知っておいたほうが安心して使えますよね。

 

そこでこの記事ではどうしてED(勃起不全)になってしまうのかを説明して、次にバイアグラ®がどうして効果があるのかを詳しく説明していきます。

 

難しい言葉がいくつか出てきますが、イラストを交えながら必ずわかるように説明していきますので、最後まで一緒に学んでいきましょう!

 

1)そもそも勃起はどんなメカニズムで起きるんだろう?

 

バイアグラ®の働きを知るためには、正常な場合どのように勃起がおきるかを知っておくとこが必要です。なのでまず初めにどのように勃起するかを説明します。

 

<通常状態>
%e4%b8%ad%e6%9d%912-1

男性生殖器の中でおしっこの通り道としての役割と、性行為のときの交接器としての役割を持つのが陰茎ですね。性行為の際には陰茎が固くなることで精液を女性の膣内に出す準備ができるのです。

 

図1をご覧下さい。陰茎の横断図です。陰茎には陰茎海綿体という2つのスポンジ状の構造物があり、その中に陰茎深動脈という血管が走っています。

 

深陰茎背静脈という血管は血液を心臓へ戻す通り道になります。尿道はおしっこと精液が出て行く管となっています。陰茎深動脈から細いラセン動脈という血管がたくさん出ていますね。

 

この細い血管から血液が陰茎海綿体の中へ流れています。その血液は導出静脈から回収され深陰茎背静脈を通って心臓へ戻っていきます。

 

通常の時はラセン動脈の壁の平滑筋(筋肉の細胞の一種です)が血管を強く締めているので、陰茎海綿体に入る血液は制限されています。

 

<勃起状態>

%e8%8a%b1%e5%9f%8e4

中村

通常では強く締められているラセン動脈の壁の平滑筋が緩まると、ラセン動脈が広がり血液が陰茎海綿体にたくさん入っていきます。

 

通常であれば導出静脈を通ってどんどん血液は外に出ていきますが、導出動脈が閉じて血液の出口がなくなります。

 

すると血液の逃げ場がなくなり、陰茎海綿体に血液が溜まり陰茎は固くなります。こうして勃起はおきるのです。

%e4%b8%ad%e6%9d%915

 

◆神経の働きによって勃起は支配されている

勃起は神経の働きによって調節されています。性的刺激を脳で受け取ってその情報が仙髄(腰骨あたりの脊髄)にある勃起中枢というところに伝わります。

 

この勃起中枢からさらに骨盤神経に命令が送られます。すると、ラセン動脈の壁の平滑筋が緩まり、陰茎海綿体に血液が多く入ってきて勃起がおきるのです。

 

◆どのようにラセン動脈の壁の平滑筋は緩むのか?
勃起するときには、ラセン動脈の壁の平滑筋が緩むのが重要なのでした。

その中にGTPという物質が入っています。骨盤神経から「勃起しなさい」という命令が伝わると、GTPが変化してcGMP(サイクリックジーエムピーと呼びます)という物質に変わります。このcGMPは平滑筋を緩ませる働きを持っています。

%e4%b8%ad%e6%9d%916

つまりcGMPの働きによってラセン動脈の壁の平滑筋が緩み、陰茎海綿体に血液が充満することで勃起がおきるのです。cGMPはPDE5(ホスホジエステラーゼ5と呼びます)という酵素(体の化学反応を加速させる物質)によって壊されます。

 

もうcGMPは無くなっているので、ラセン動脈の壁の平滑筋が再び締め付けられ、陰茎海綿体に入る血液が少なくなり勃起はおさまります。

 

この話はバイアグラの作用を考える上でたいへん重要なのでよく覚えておいて下さい。

 

2)どうしてED(勃起不全)になってしまうんだろう?

 

ここまでは正常な人がどのように勃起するかを詳しく説明してきました。

 

ここからはEDの方はどのような状態になっているかを考えてみましょう。EDは日本語では勃起不全といい、勃起がうまくできない状態です。上で見てきたとおり勃起には血管や血液、神経が関わっています。これらの働きが1つでも悪くなるとEDになってしまいます。

 

例えば動脈硬化や高血圧などで血管が傷ついて血液の流れが悪くなると、ラセン動脈から陰茎海綿体へ血液が入りづらくなり勃起ができなくなります。

 

他にも脳卒中などで神経の働きが悪くなると勃起中枢からの命令が骨盤神経に届かなくなり、やはりEDの原因となります。

 

他にも心理的な要因によっておこるED(勃起不全)もあります。「はじめての性行為で緊張して勃起しなかった」という話や「夫婦仲が悪くなってしまい妻に対して勃起しない」という訴えは心理的な原因によるものです。

 

ED(勃起不全)は性行為ができなくなるので、不妊の原因となります。(男性側が原因となって妊娠が成立しないことを男性不妊と言いますが、ED(勃起不全)はその原因の1つです。)子供の欲しい夫婦にとっては、男性だけの問題ではなく、パートナーである女性にとっても大きな問題です。

 

ですからEDを治療していくことは非常に重要です。その治療法を次の章から見ていきましょう。

 

3)バイアグラ®でどのようにEDが治るんだろう?

2)どうしてED(勃起不全)になってしまうんだろう?

ED(勃起不全)には様々な治療法がありますが、その中でもバイアグラ®は最も有名な治療法です。

 

バイアグラ®の作用は先ほど説明したcGMPとPDE5が重要な役割を持っています。cGMPはラセン動脈の壁の平滑筋を緩めることで勃起をおこして、PDE5はcGMPを壊すことで勃起を解消させるのでしたね。

 

EDになるとcGMPの数が少なくなるため、勃起しづらくなります。そこで考え出されたのがバイアグラ®です。

 

%e4%b8%ad%e6%9d%917-1

バイアグラ®はPDE5の働きをブロックするという働きを持っています。PDE5が抑えられるとcGMPが壊されずにたくさん残ることになり、ラセン動脈の壁の平滑筋が緩む状態が続きます。

 

そうすることでより多くの血液が陰茎海綿体に入ってくることになり勃起するようになるのです。すなわちバイアグラ®はcGMPが壊されるのを防ぎ勃起を助ける働きを持つのです。

 

〇バイアグラについてもっと詳しく知ろう!
バイアグラ®はアメリカのファイザー社が開発した薬で、クエン酸シルディナフィルの商品名です。医学的にはPDE5阻害薬という薬に分類されます。

 

他のPDE5阻害薬には、バルデナフィル塩酸塩、タダラフィルなどがあります。使用するときに注意しないといけないのは、狭心症の治療に使われるニトログリセリン(硝酸薬)と一緒に使ってしまうと血圧が急に下がってしまう副作用があることです。

 

副作用などで健康を害することがあるので、使用されるときは最寄りの医療機関でできるだけ相談をするようにしましょう。

 

4)ED(勃起不全)の他の治療法にはどんなものがあるのだろう?

 

バイアグラ®は確かに效果が高い薬ですが全てのEDに対して使えるわけではありません。EDの患者さんの中にはバイアグラ®が効かなかったり、使ってはいけない人もいるからです。

 

既に説明したように、ニトログリセリンと同時に使ってしまうのは危険です。とは言うものの、ED(勃起不全)の治療の際、1番最初に考慮されるのはバイアグラ®です。

 

実際はバイアグラ®が使えない場合は他の治療法を考えます。

imgpsh_fullsize-5

1つとして当院のICI療法である、プロスタグランジンE1という薬を陰茎海綿体に注射することで勃起を促す方法もあります。「陰圧式勃起補助具」という物理的に陰茎を引っ張り勃起を促すものもあります。

 

それでも效果がなければ外科的治療を選択することになります。「陰茎プロステローシス挿入手術」は最終手段となります。これは陰茎海綿体内に人工物を挿入し勃起をおこしやすくする手術です。

 

まとめ

いかがだったでしょうか? この記事では勃起のメカニズムを詳しく見てからEDの状態を説明し、さらにバイアグラ®がどのように作用するかを見てきました。

 

いくつか専門用語が出てきてわかりづらかったかもしれないので、ここで重要なポイントをまとめておきたいと思います。

 

・ラセン動脈の壁の平滑筋が緩んで、陰茎海綿体にたくさん血液が入ることで勃起がおきる。
・cGMPがラセン動脈の壁の平滑筋を緩ませ、PGE5はcGMPを壊すことで勃起状態を解消する。
・バイアグラ®はPGE5の働きを抑えることで勃起しやすくする。
・バイアグラ®は使ってはいけない場合はあるものの、ED治療で最もよく使われる。

 

本記事ではバイアグラ®の働きをわかっていただくために基礎から順を追って説明してきました。

 

そのため、バイアグラ®以外の治療法については説明が少なくなってしまいましたが、他の記事に治療法を中心にまとめたものがありますのでお時間のある方はそちらもご覧になってください。

 

最後まで読んで下さりありがとうございました。

 

 - ED・経口薬