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心因性ED(勃起不全)とはどのような症状なのか? 

心因性(機能性)EDについて解説します

院長:山本(医師)監修

1)心因性EDとは?
2)心因性EDの精神医学的観点
3)心因性EDの原因とその治療法
4)心因性EDに対する行動療法

 

心因性ED(勃起不全)とはどのような症状なのか?

 

(目次)

>1)ED(勃起不全)とは
2)心因性ED(勃起不全)とは
3)心因性ED(勃起不全)の治療
4)まとめ

 

はじめに

この記事では心因性EDについて詳しく解説したいと思っています。まずはいきなりの質問なのですが、「これを読んでいる男性のみなさんは普段セックスを満足に行えていますか?」
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いきなり少しセンセーショナルな質問ですが、恋人や夫婦の間においてとても重要な意味を持つ質問です。「身体の相性」というのは関係を続ける上でかなり大事な条件ですよね。そしてある統計によると、日本人男性の4人に1人が「時々セックスができない」という中程度以上の問題を抱えており、「セックスはできるが硬さが十分ではないことがある」という軽度の問題を抱えているのは3人に1人とも言われています。

なんとなく勃ちが悪い、中折れすることが増えてきた、など思い当たる人は「ED」という病気を疑った方が良いかもしれません。EDになると、自分の意志(性的な興奮)とは裏腹に身体的な機能が上手く反応せずとてもとてもつらい思いをしてしまいます。

EDを引き起こす原因は加齢や神経の障害、薬剤の影響などをはじめとしてたくさんあります。ここではその中の「心因性ED」というものを取り扱います。

 

1)ED(勃起不全)とは

EDとはErectile Dysfunctionの略で、勃起不全と日本語では訳されます。カタカナのインポテンツという言葉で知っている人も多いかと思います。なぜEDになってしまうのか説明する前に、そもそもどのようにして男性器は勃起するのかについて説明します。

 

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勃起のメカニズムは意外にも実は複雑です。大きく分けて3つの過程に分けることができます。まず1つ目は①「性的刺激を脳で感じる」です。性的刺激を五感で感知し、脳の中枢神経が性的興奮を起こします。次に2つ目が②「性的興奮が神経を通って男性器まで伝達される」です。

 

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伝達された神経の興奮は男性器を通る陰茎深動脈という血管を刺激し、血管を構成する細胞からNO(一酸化窒素)を分泌させます。するとこのNOは血管の太さを調整する筋肉に働きかけcGMPという物質を放出させます。cGMPは筋肉を緩めるため陰茎深動脈は拡張し太くなります。

 

そして3つ目③「拡張した血管に血液が流れ込み海綿体が膨らむ」ことで海綿体内の圧力も上がり勃起した状態になるというわけです。一旦勃起すると上がった圧力によって静脈を圧迫するため血液が流出しにくくなり勃起した状態を維持することができます。これが勃起のメカニズムです。①~③のいずれが欠けても十分な勃起が引き起こされず、EDにつながります。

 

そしてEDになる原因ですがこれも大きく3つに分けられ、血管や神経の障害による器質性ED、精神的な要因による心因性ED、特定の薬による薬剤性EDです。多くの場合原因を1つに決めることは難しく、またこれらが複合して起こっていることが多いです。

 

2)心因性ED(勃起不全)とは

では上で軽く紹介した心因性EDについて詳しく見ていきましょう。

EDといえば中高年以上の人が悩んでいるイメージがありますが、この心因性EDには年齢は関係なく、20~30代の人のEDの原因はこれに当たると言われています。勃起が起こるためには身体が十分な機能を果たせるだけでなく、精神もきちんと性行為に臨む状態である必要があります。

 

心因性EDの患者さんには、1人で悩んで色々と努力をするものの、いざというときにかえって「ちゃんとしなければならない」といった緊張や焦りに駆られてしまいなかなか思うような性行為ができていない人が多いと言われています。またこうした失敗した体験が不安感や劣等感につながり「今度もできないかもしれない」という悪いイメージを持たせ、いっそう心因性EDから抜け出せないような状態になってしまいます。このような状態は、うつ病などの精神疾患や、精神疾患はなくてもストレスなどにより引き起こされ得ます。

 

 

心因性EDを引き起こしうる精神疾患としてはうつ病、躁病、不安神経症や統合失調症などが挙げられます。これらの精神疾患は性的刺激を脳が十分に感じることができなくなるようにさせることがあり(性欲の低下)、そのため勃起が起こりにくくなります。また、こういった疾患に対して処方される向精神薬や抗うつ薬と呼ばれる薬が中枢神経に作用することによってEDを引き起こしている場合もあります。特にうつ病は近年増加してきており、それに伴ってうつ病が原因となってEDになる若い世代の患者も増えています。

 

 

 

特別な精神疾患の診断がなくとも心因性EDは起こりえます。失恋や離婚、夫婦の不仲、男性器へのコンプレックス、経済的な不安、妊娠させてしまうかもしれないという恐怖など日常で感じるストレスが心因性EDにつながる場合もあります。これは職場でのストレスなど性行為自体には関係の薄いことも原因になったりします。これらは現実心因と言い、現実心因によって失敗やトラウマを強く意識してしまうことで脳の中枢神経が性的興奮を感じにくくなるのです。

 

また、日常でストレスを抱えていないと感じていても、心の奥底に存在する恐怖や不安などが影響して心因性EDを引き起こしている場合もあります。具体的には、性行為の相手への深層心理での愛憎や幼少期のトラウマ、エディプス・コンプレックス(潜在的な近親相姦欲求)、(自覚はないけれど)ホモセクシュアルであることなどが挙げられます。このような普段意識をすることはない原因を深層心因といいます。これらは解決はおろか見つけることから簡単にはいかないので複雑です。

 

心因性EDは様々なストレスや病気によって不安を感じ、勃起のメカニズムで言う①「性的刺激を脳が感じる」というところに問題が生じていると言えます。

 

 

3)心因性ED(勃起不全)の治療

心因性EDの治療は原因が判明しにくいためお薬を処方すればはい終わり、というわけにはいきません。上でも書きましたが心因性EDの原因は心の中の不安にあります。この不安を取り除くためには、1人で抱え込み不安や劣等感に押しつぶされるのではなく、パートナーに相談するなどして安心感や信頼感などを強く感じることが必要なのです。また同時にED治療薬を利用することも1つの手と言えます。薬を使っても良いから満足のいく性行為ができれば不安は徐々に薄れ、パートナーとの関係もさらに良い方向に向かうことが期待されます。

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ED治療薬の1つにバイアグラという薬があります。これは勃起した状態を維持するのを助ける薬です。勃起のメカニズムで出てきましたが、脳から信号を受け取った血管の細胞はNO(一酸化窒素)を分泌し、それによりcGMPという物質が放出され血管が拡張します。このcGMPという物質はPDE5という酵素によって壊されます。このPDE5は射精後など性的興奮が収まったときに放出されます。つまり簡単に言うと、cGMPによって勃起し、PDE5によって勃起が収まるというわけです。バイアグラという薬はPDE5のはたらきを阻害する薬です。PDE5のはたらきを阻害することでcGMPのはたらきが持続し、勃起した状態が維持されるというわけです。

 

はじめは勃起するけど硬さが保たずすぐに萎えてしまう、という悩みであればなんらかの原因でcGMPよりもPDE5のはたらきの方が強く出ていると考えられるので、バイアグラを服用することで勃起した状態を維持し性行為がより満足いくものになることに期待が持てます。

 

もしED治療薬を服用してもなかなかEDから抜け出せないという人は一度医者にかかった方が良いかもしれません。もちろんバイアグラも万能薬ではありませんからcGMPとPDE5に関係ないところに原因があれば効果は表れません。血管や神経に問題が無ければ、何らかの心理的な治療をすることによって何が原因で何を不安に感じているのかを明らかにすることができるかもしれません。いずれにせよ、焦らず長い目で見てEDを克服していけるよう気持ちを整えることが大事です。

 

4)まとめ

「はじめに」でも書いたように、ED(勃起不全)というのは身体の相性という点から見るととても重い病気です。しかも今回紹介した心因性EDに関しては日頃のストレスや精神疾患、はたまた深層心理から来る不安、という漠然としたものが原因です。1人で抱え込めば抱え込むほど悪循環にはまりなかなか克服できない人もいると思います。EDは名前は知られていてもその原因やメカニズムに関しては認知度が低く、また話が話だけになかなか人に相談しづらいという問題を抱えています。しかし、紹介した統計を見ても分かるように日本人男性の3人に1人はEDの症状を感じています。もしEDかもしれないと感じたら、勇気を出して恥ずかしがらずパートナーやお医者さんに相談してみましょう。1人で抱え込むのではなく、治療方法を探しながら不安をぬぐい去っていきましょう。

 

 - ED・心因性