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前立腺と男性機能との関係について

前立腺とEDの関係について解説します。

院長:山本(医師)監修

1)前立腺と男性機能の関係について
2)前立腺肥大症について
3)前立腺癌はどのような病気なのか?
4)前立腺肥大症で起きるED
5)外科手術後のEDとICI療法

 

前立腺と男性機能との関係について

 

(目次)
1)前立腺ってなに? どこにあるの? まわりに何があるの?
2)前立腺ってどんな働きをするの?
3)射精のメカニズムはどのようになっているのだろう?
4)もう少し細かく前立腺を見ていこう!
5)前立腺は触ることはできるのかな?
5)まとめ

 

はじめに

突然ですが、みなさんは前立腺という臓器を知っていますか? 前立腺はクルミくらいの大きさの、男性にのみ存在する臓器で、生殖機能と密接に関わっています。胃や肺と比べると小さな臓器なので知名度はあまり高くはありませんが、高齢者のおしっこのトラブルの原因となる前立腺肥大症や、前立腺がんといった怖い病気が起こる臓器です。この記事では病気が分かりやすくなるように、基礎的な内容から順にお話します。難しい医学用語が出てきて戸惑うかもしれませんが、できるだけわかりやすい言葉で説明していきますので、最後まで一緒に学んで行きましょう!

 

1)前立腺ってなに? どこにあるの? まわりに何があるの?

そもそも前立腺はどこにあるのでしょうか? 図1に男性生殖器の解剖を示しました。体表に出ている陰茎と陰嚢以外は体の中の臓器です。前立腺はおしっこの溜まる袋である膀胱の下に位置します。そして、すぐ後ろにはうんちの通り道である直腸があります。(前立腺が直腸の近くにあることは大事なのでよく覚えておいてください)

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さて図1の前立腺をよく見ると、2つの管が走っているのがわかりますね? 1つは尿道というおしっこの通り道です。腎臓で作られたおしっこは尿管を通って一度膀胱にたまり、尿道から前立腺を貫いて陰茎を通って体外に出されます。もう一つは射精管という管です。これは文字通り射精のとき精液の通り道となります。

射精のときの精液の通り道を見てみましょう。精巣で作られた精子は精巣上体に蓄えられます。その後精管を通って、途中で精嚢からの管と合流して前立腺に入ります。そして尿道と合流したあとはおしっこの通り道と同じです。

 

前立腺は内腸骨動脈という太い動脈から枝分かれした、下膀胱動脈という動脈によって栄養されます。動脈を流れる血液から酸素などの大切な物質をもらっています。

 

 

2)前立腺ってどんな働きをするの?

ここまで読んでくださった方は、前立腺がどこにあって、まわりに何があるかが理解できたと思います。それでは前立腺はどんな働きをしているのでしょうか?

 

前立腺からの分泌液は精液の構成物となります。精液のうち精子が占める割合はたった1~3
%です。大部分(85~90%)は精嚢からの分泌液です。残りの5から10%が前立腺からの分泌液となります。

精嚢からの分泌液は精液の大部分を占め、精子の動きを助けるフルクトースをたくさん含みます。これに対して前立腺からの分泌液は、クエン酸など多くの物質を含み、精子の運動を助けたり生存に関わる役割を持っています。つまり、精嚢や前立腺は精子のサポートをし、卵子と受精をしやすくする大切な働きを持っています。ちなみに前立腺の分泌物は乳汁のような液体で、栗の花のような独特のにおいを持ちます。

 

3)射精のメカニズムはどのようになっているのだろう?

 

前の章で前立腺からの分泌液は精液の一部でとなるというお話をしましたが、そもそも射精はどのように起きるのでしょうか?

 

人間の体には大きく分けて交感神経と副交感神経という神経があります。交感神経は体を活発に動かすようにする神経です。これに対して副交感神経は体を休ませるようにする神経です。例えば、電車に間に合うように走るときは交感神経の働きが活発になり、逆に夜眠るときは副交感神経の働きが活発になります。射精は交感神経の働きによって起こります。(勃起は副交感神経の働きによって起こります。)

 

性的興奮によって射精中枢(射精をコントロールする場所)の命令で、交感神経の働きが強くなると精巣上体が収縮します。精巣上体に蓄えられていた精液は精管に移動します。途中で精管は射精管となり、精嚢からの分泌液と混ざります。さらに前立腺からの分泌物と混ざり、精液は陰茎から体外へ出されます。精液は精嚢と前立腺の分泌液の働きによって運きやすくなっているので、卵子に向かって膣内を動いていきます。

 

4)もう少し細かく前立腺を見ていこう!

前立腺は場所によってさらに細かく名前がつけられています。図2を見てください。左側は前立腺を横に切った図で、右側は前立腺を縦に切った図です。大きくわけて、①前部線維筋性間質、②移行領域、③中心領域、④辺縁領域の4つに分かれます。このうち重要なのは②と④です。

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冒頭にでてきた前立腺肥大症という病気は②移行領域によく発生します。図2をよく見ると、この部分は尿道の周りを取り囲んでいますね。もし前立腺が肥大=大きくなると尿道が狭くなってしまいます。するとおしっこが出づらくなりますね。前立腺肥大症でおしっこのトラブルが起こるのはこのためなのです。

また前立腺がんは④辺縁領域によく起こります。この部分は尿道の周りではありませんから、がんができてすぐはおしっこのトラブルは起きません。裏を返すと症状がでないうちにがんが大きくなっているということがあるので注意が必要なのです。

 

5)前立腺は触ることはできるのかな?

 

ここでは前立腺の病気をどのように発見するかをお話します。はじめにお話したように前立腺は体内にあるので直接触るのは難しそうですね? しかし実は前立腺を直接触る方法があります。それはお尻の穴を使う方法で、直腸診と呼ばれています。前立腺が体のどこにあるかという話をしたときに、前立腺のすぐ後ろには直腸があると言いましたね。つまり、お尻の穴から指を入れて直腸に指を進めたとき、前立腺の後ろ側を触ることができますね。(図3を見てください。) 通常であれば前立腺は表面がツルツルで軟らかく触れます。しかし、前立腺肥大症では正常よりも硬く触れます。また、前立腺がんでは表面がゴツゴツして石のように固くなることもあります。

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〇前立腺の病気にはどんなものがあるのだろう?

1つ1つの病気については他の記事で詳しく扱いますが、ここでは総論としてどんな病気があるのかを見て全体のイメージがつくようにしましょう。

 

<前立腺肥大症>
ここまで何度も出てきているように前立腺が肥大=大きくなる病気です。具体的には前立腺の移行領域が大きくなる病気でしたね。前立腺は年を重ねるとともに大きくなっていくので、高齢者では移行領域が大きくなることによる排尿トラブルがみられることがあります。

 

<前立腺がん>
文字通り、前立腺にできるがんで、中高年以降に多く発生します。尿道のまわりにできることは少ないので、がんができてすぐには症状が出ないのが特徴でしたね。症状がでたときには、がんがかなり大きくなっているので注意が必要なのでした。日本でこの病気にかかる人や亡くなる方が年々増えており、近年注目を集めているがんです。

 

<前立腺炎>
前立腺炎は前立腺にできる炎症です。バイキンが尿道を通って前立腺まで入ってくると、体を守ろうとする免疫の細胞と戦いがおきます。この戦いのため熱がでたり、おしっこをするときに痛みを覚えます。前立腺肥大症や前立腺がんが高齢者に多いのに対して、この病気は比較的若い方によく起こります。さらにバイキンが奥に進んでいくと精巣上体まで到達し、そこで炎症をおこす精巣上体炎という病気もあります。

前立腺の病気でメジャーなものはこの3つなので、これから1つ1つの病気を見ていくときに、他と比較していけば理解がしやすくなると思います。

 

まとめ

いかがだったでしょうか? この記事では前立腺の位置や働きの説明から始まり、射精の仕組みを見てきました。さらに前立腺の部位をより細かく説明し、病気の全体像を説明してきました。ここで大切なところをもう一度おさらいしましょう。

・前立腺は膀胱の下、直腸の前にある臓器である。
・前立腺からの分泌液は精液を構成し、精子の運動を活発にする働きがある。
・前立腺は大きく4つの部位に分かれるが、大事なのは移行領域と辺縁領域である。
・前立腺は直腸診によって触れることができる。
・前立腺肥大症、前立腺がん、前立腺炎などの病気がおこる。

他の記事では今回学んだことを基盤として、前立腺肥大症、前立腺がんといった有名な病気を説明していきます。それぞれの病気でわからなくなってしまったら、無理して読み進めるのではなくこの記事に戻って全体像を掴んでくださいね。最後まで読んで下さりありがとうございました。

 - 前立腺・ED