ED(勃起不全)の治療・改善方法とは?

(はじめに)

みなさんの中で、「ED(勃起不全)は年を取るとなってしまう病気だから、治療しても意味がない」と考えている方がいるのではないでしょうか。

確かに、年齢が原因のED(勃起不全)はありますが、適切に治療を行えば十分に機能は回復します。今回はED(勃起不全)の仕組みについて触れた後、その治療方法について学んでいきます。

1)正常な勃起のメカニズム

ED(勃起不全)について学ぶ前に、まずは正常な勃起のメカニズムについて触れておいた方が分かりやすいです。通常、性的興奮が脳に伝わると、脳から信号が送られます。この信号は神経を伝わって陰茎に伝わります。

陰茎でこの信号が受け取られると、陰茎の血管に二つの変化が起き、血液量が増えることで勃起します。1つの変化は動脈が広がって、陰茎に流れ込んでくる血液量が増えることです。

2つ目の変化は静脈が狭くなって陰茎から流れ出ていく血液量が減ることです。こうして、血液は入って来やすく、抜けにくい状態を作ることで血液量が増し、勃起するのです。

①神経が信号を伝え、②陰茎の血管に変化が起きる、この二段構えになっていることを押さえてくださいね。

2)ED(勃起不全)の原因と解決策

さて、上の章で正常な勃起のメカニズムを見てきましたから、この章ではそれを踏まえてED(勃起不全)の原因を説明していきます。正常な勃起は①神経、②血管の作用によって成り立っているのでしたね。ですからED(勃起不全)の原因は、このどちらか、あるいは両方がやられてしまっていることが挙げられます。以下に例を挙げて解説していきながら、それぞれのEDの改善法について解説していきます。

◆心理的要因

心理的要因とは、精神的な問題が原因となってEDになってしまうことを言います。EDの原因には加齢によるものや他の病気やけ怪我が原因となるものがあり、これらは年齢に比例して患者が増えます。

しかしこれらとは対照的に、心理的要因によるEDはどの年代でも幅広くみられるのが特徴です。若い人でも年配の方でも、仕事のことでも家族のことでも、様々なことが心に負担をかけるとEDになってしまうのです。

精神的な問題と言っても多種多様なものがありますが、例えば、①仕事、②人間関係(特に女性関係)、③過去の性的なトラウマなどが挙げられます。

仕事がうまくいかないとき、それがストレスとなって性欲が抑えられEDになってしまうことがあります。また、人間関係によるストレスも同様にEDの原因となります。

ただ、③の性的なトラウマだけは少し異なり、性欲はあり自慰では勃起もするのに、いざ本番となると立たなくなってしまうのです。

昔女性に性交のことで馬鹿にされたことがあったり、あるいは幼少期に性的虐待を受けたりすると、それがトラウマになることがあります。

こういったトラウマにより、性欲はあるのにいざ本番となるとうまくいかないという症状が作り出されてしまうのです。

さて、心理的要因によって起こるEDの改善法は、ずばり心理的要因を取り除くことが一番です。

もし、仕事が最近忙しくてそれがストレスとなりEDとなってしまったのであれば、仕事がひと段落して落ち着いたら改善するでしょう。もし過去の女性経験がトラウマとなりそれが原因となっている場合は、カウンセリングを受けたり、自分のことを大いに受容してくれる素敵な女性と出会うことで改善するでしょう。

このように、心理的要因によるEDは、そもそもの原因が神経や血管がやられているわけではなく、精神的な問題が原因となっているので、それらが解決すれば自然とまた正常に勃起できるものなのです。

何かとストレスのかかる社会ですが、自分の心を落ち着かせることができれば必ずEDは改善します。

◆加齢によるもの

加齢によるEDの減退には2種類あります。一つ目は性欲自体の減退、二つ目は動脈硬化によるものです。まず、性欲の減退についてです。年を取ると、やはりどうしても若いころに比べれば性欲は衰えてしまいます。

すると、同じ性的刺激を受けたとしても、若いころは十分に勃起することができたのに、年を取ると十分に勃起できなかったり、勃起しても持続時間が短くなってしまいます。

このように、性欲自体が減少することでもEDになってしまうのです。続いて二つ目の動脈硬化によるものです。動脈硬化とは、動脈にコレステロールを主成分とする塊が血管の壁に貼りついて、動脈が狭く硬くなってしまう病気のことです。

ところで、正常な勃起のメカニズムの章で、「陰茎の動脈が広くなって血液がたくさん流れ込むことによって勃起する」と学びました。

つまり、動脈硬化によって動脈が狭く硬くなるのは、動脈が広くなる勃起の作用とちょうど反対のことなのです。狭く硬くなってしまった動脈は、そう簡単には広くなりません。

こうして血液がたくさん流れ込まなくなり、正常に勃起することができません。また、動脈硬化はEDの原因にもなりますが、脳卒中や心筋梗塞などの恐ろしい病気の原因にもなります。

ですから、規則正しい生活やバランスとれた食事、適度な運動など生活習慣を改善して動脈硬化を防ぐことが、EDだけでなく様々な病気を防ぐことにつながるでしょう。

◆怪我・薬の影響

最後に怪我や薬の影響についてです。まずは怪我についてです。怪我によって神経にダメージが入ってしまうと、性的刺激を受けた際、脳からの信号が陰茎に上手く伝わらず勃起しません。

怪我によって損傷した神経より先に信号が伝わらないのです。ちょうど、台風で電線が切れたりすると、それより先の家庭には電気が流れないのと同じです。

また、陰茎を怪我して血管がやられたときも勃起しません。神経からの信号を受けて血管に変化が起きることで勃起が起こるのですから、この血管がやられてしまうことでも勃起はできなくなるのです。

怪我によってEDになっている場合は、適切な治療を受けることで、できる限り怪我をする前の状態に戻すことが大切です。

続いて薬によってEDになってしまうケースについてです。薬の副作用としてEDになるものがいくつか知られています。うつ病などの精神疾患で治療に用いられている抗不安薬が例として挙げられます。うつ病の患者の体内では、セロトニンという物質の分泌が低下しています。

抗不安薬はこの分泌を増やすことでうつ病の症状を改善します。しかし、セロトニンは興奮するのに必要な神経を抑制して興奮しにくくしたり、感覚を低下させるためにオーガズムや射精が遅延したりして、EDの原因となることがあります。

このような場合は、薬を中止すればEDにはならないと考えがちです。しかしその薬は元の病気の治療に欠かせないものなので、主治医と相談しながら服用する薬の量を決めた方がいいですね。

3)ED(勃起不全)の薬物治療

ここからは薬物を用いたED(勃起不全)の治療について学んでいきます。ED(勃起不全)の治療薬と言えばバイアグラ®が有名ですね。バイアグラ®は商品名で、これに含まれ化学物質の名前としてはクエン酸シルデナフィルが正式名称です。

バイアグラ®はPDE type5(ホスホジエスタラーゼ 5型)という酵素の働きを抑えることで勃起させやすくする薬です。

このバイアグラ®の作用メカニズムを学ぶためには、分子レベルで勃起の仕組みを見ていく必要があります。

性的刺激が脳で受容されて神経を伝わってくると、神経の末端から陰茎にNO(一酸化炭素)が放出されます。NOは海綿体平滑筋の中のグアニル酸シクラーゼという酵素に働きかけます。

この酵素はGTPという物質を環状構造に変換してcGMP(サイクリックGMP)という物質にします。この物質が細胞内で様々なシグナルを呼び起こし、平滑筋が弛緩します。

ところで、普段は海綿体平滑筋が収縮することで陰茎海綿体を締め、勃起が抑制されています。しかし、性的刺激をきっかけに神経から放出されたNOがこの海綿体平滑筋を弛緩させるため、陰茎海綿体を締める力が弱くなります。

これにより海綿体内の血管が広くなって血液が流れ込み、勃起が起こるのです。性的刺激→平滑筋弛緩→勃起というこの流れを押さえておきましょう。

さて、勃起が起こる仕組みは以上の通りですが、このままでは勃起が起きたままですよね。このままでは困るので、勃起を起こす一方で勃起を抑制する働きもあるのです。

これがPDE type5という酵素です。PDE type5はcGMPを分解することでそれ以上勃起が起きないようにしています。cGMPのことをまとめますと、cGMPあり:勃起する、cGMPなし:勃起しないという構図であり、このcGMPを分解、つまり無くす方向に働くのがPDE type5なのです。

以上が分子レベルまで見た正常な勃起のメカニズムでした。ここからはいよいよ分子レベルでED(勃起不全)の原因を見て、バイアグラ®の作用メカニズムについて触れていきたいと思います。

バイアグラ®はPDE type5の働きを抑制します。もともとPDE type5にはcGMPを分解するはたらきがありました。

ですから、cGMPを分解するPDE type5を抑制、つまりcGMPの分解を抑え、cGMPを増やす効果があるのです。cGMPは平滑筋を弛緩させ勃起させる働きがありますから、バイアグラ®を飲むと勃起しやすくなるのです。

ただ、バイアグラ®は陰茎以外の血管にも効いてしまいますので、血管系の病気をお持ちの方は、個人で購入したりせず、きちんと病院で医師に相談してから使うようにしましょう。

4)まとめ

今回はED(勃起不全)の詳しい原因に触れ、薬物治療について紹介してきました。ED(勃起不全)はきちんと治療すれば改善する病気ですので、もしED(勃起不全)かもと思う節があれば恥ずかしがらずに病院へ行くことが何よりも大切です。

また、薬物治療の章でも書きましたが、バイアグラには副作用がありますので、きちんと医師に相談したうえで服用するようにしてくださいね。