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ED(勃起不全)の原因|どうして勃たなくなるのか?

勃起の仕組みとEDの原因を解説します

院長:山本医師(監修)

1)EDとは?
2)勃起の仕組みとED
3)EDの原因
4)EDの症状とは?
5)EDの治療・改善方法

 

ED(勃起不全)の原因|どうして勃たなくなるのか?

 

(目次)
1)ED(勃起不全)の原因について
2)ED(勃起不全)の危険因子について

 

(はじめに)

男性の勃起障害を表す言葉として、表題ではインポテンスという用語を用いていますが現在では一般的ではありません。これは、1992年に開かれたNIH(アメリカ国立衛生研究所)によるコンセンサス会議で、Erectile Dysfunction(ED)という用語を使うように勧告がなされたからです。その理由は、前者の呼び方が病態を正確に表しておらず、軽侮的表現からでした。

 

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ここで注目してほしいことは、1992年にその呼び方が変わっていることです。男性の勃起障害については、長い間医学的に注目されることはありませんでした。そのような背景があり、勃起のメカニズムについても近年になって明らかになってきました。例えば、勃起のメカニズムにおいてNO(一酸化窒素)が重要な役割を持つことを明らかにした研究があります。

 

この研究はノーベル生理学賞を受賞しているのですが、これは1998年のことでした。現在では研究も進み、ED(勃起不全)といっても様々な原因があることがわかっています。確かにEDは生命に直接関わる疾患ではありません。しかしながら、多くの男性とそのパートナーとの「性生活の質」を低下させる可能性があります。原因と治療法について正しく理解し、EDは医学的に疾患であるということを認識する必要があります。今回はEDについて、その原因を説明していきます。

 

1)ED(勃起不全)の原因について

まず、EDの定義ですが、「満足な性交渉をするために十分な勃起を発現できない、あるいは(かつ)、維持できない状態」です。このため、性欲の低下や射精障害は含みません。
EDの原因には大きく分けて器質性と心因性があります。また多くの場合、この両者が混在する混合性という場合もあります。
国際学会ISIR(世界インポテンス学会)の分類では、以下のようになっています。

 

器質性(Organic)
1.血管系(Vasculogenic)
A.動脈系(Arteriogenic)
B.海綿体(Cavernosal)
C.混合性(Mixed)
2.神経系(Neurogenic)
3.解剖学的・構造的(Anatomic)
4.内分泌系(Endocrinologic)

 

心因性(Psychogenic)
1.一般的要因(Generalized Type)
2.環境的要因(Situational Type)

 

原著では、括弧の中に追記してある英語で書かれています。
器質性では、主に身体的な機能が原因でEDになります。大きく分けて、血管系、神経系、構造的、内分泌系の疾患の4つの要因があるようです。構造的というのは、外傷などのことを言うようです。また、外傷のほかにも、他の疾患で手術を受けた際にその傷が原因でEDになることもあるようです。

心因性には、一般的要因と環境的要因の2つがあります。
一般的要因は、性的興奮の加齢による減退などが含まれます。一方、環境的要因はパートナーとの関係、不安や緊張によるEDなどが含まれています。

 

2)ED(勃起不全)の危険因子について

 

加齢
加齢は、EDになることの一つの原因でもあるようです。しかしながら、EDが単純に加齢現象であるということではありません。加齢に伴って他の原因が増加するため、EDがとともに増加しているように見えるようです。

%e7%9f%b3%e6%a9%8b1                   図 1 NMSAと日本のデータ

上の図1の一方のデータは、MMAS(マサチューセッツ男性加齢研究会)によって調査されたものです。1987年から1989年にマサチューセッツ州で、40歳から70歳の男性1290人を対象に調査されました。そしてもう一方は、そして、もう一方はMMASと同じ質問用紙を用いた研究が日本で行われた際のデータです。調査方法としては、日本全国100地点での住民基本台帳からランダムに2000サンプルを抽出、質問用紙を郵送し訪問回収したということです。日本のデータもMMASのものに類似しており、高齢になるにつれてEDの患者の割合が多くなっています。

 

(慢性疾患)
糖尿病
糖尿病患者の28~59%がEDを起こすと報告されています。一般的にもっともよく知られている、EDを併発する代表的な疾患です。重症になればなるほど、高齢になればなるほど、EDを併発するようです。発生機序としては、神経障害と血管および海綿体の内皮障害に基づくとされています。

 

(心疾患)
31歳~86歳の心筋梗塞に罹患した男性の64%、冠動脈のバイパス手術を受けた患者のうち57%がEDであるというデータがあります。発生機序としては、血管の障害が陰茎にも及んでいること、薬剤の関与や、性交時に心疾患を再発するのではないかという心因性の問題もあります。

 

図2は、特に循環領域の患者においてEDが起こるメカニズムを示しています。疾病、薬剤、不安どれもEDを起こす可能性はあります。各々の要因が重なれば重なるほど、EDは起こりやすくなります。図3は、札幌医科大学によって調査された循環器疾患患者の勃起機能得点を表したものです。50%の曲線が正常男性の平均の得点になります。例えば、25歳あたりでは8点くらい、85歳あたりでは2点くらいになっています。そのほかに、90%、75%、25%、10%の勃起機能を表す曲線が引かれています。数値が高い方が、勃起機能は保たれています。見てわかるように、60歳を超えたあたりから循環機能に疾患がある場合、平均より低下していくことが分かります。

 

%e7%9f%b3%e6%a9%8b2             図 2 循環器領域で性機能の低下をもたらすメカニズム

 

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図 3 循環器疾患患者の勃起機能得点

(血管障害)
閉塞性動脈硬化症(ASO)や、閉塞性血栓性血管炎(TAO)などがEDを引き起こすこともあります。特に、陰茎に血液を供給する動脈である内腸骨動脈にも病変が起こると血管性のEDを起こす。この内腸骨動脈ですが病変が起こっても機能障害を起こさないと考えられていました。そのためsilent arteryと呼ばれていましたが、EDには強く関係しています。図4は、血栓が血管を狭窄している中枢性動脈性勃起不全の例です。aは両側の内腸骨動脈に75%以上の狭窄が生じているタイプ。bは片側の内腸骨動脈が完全閉塞で、対側は50%以上の狭窄が生じているタイプ。cは腹部大動脈に75%以上の狭窄が生じているタイプ。これらの状態になると勃起不全になる確率が高くなります。

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高血圧
血圧が上がることによる血管障害と治療薬による薬剤の影響があります。

 

高脂血症
陰茎に血液を供給する血管に障害が起こり、血管性の勃起不全を起こします。

多発性硬化症
多発性硬化症とは、経に障害が起こることで、様々な神経症状の再発と寛解を繰り返す疾患です。その患者の70%以上にEDの併発が見られるようです。

 

うつ病
うつ病患者の50%が勃起不全を併発するようです。また、EDが治療によって改善するとうつ病の方も良い効果をもたらすというデータもあるようです。

 

肝機能障害や腎機能障害、慢性閉塞性肺疾患(COPD)
肝機能障害では25~70%に合併、腎機能障害では45%に合併します。また、慢性閉塞性肺疾患(COPD)では30%に合併するようです。腎機能障害では腎移植で軽快するというデータがあるようです。

 

(手術と外傷)
神経、骨盤に対する外傷や手術
何らかの原因で頭部や脊髄に外傷や手術を受けた際に、神経を傷つけるとEDになります。また、骨盤でも同様です。骨盤領域には多くの神経が密集しています。そのため、骨盤領域に手術を受けた後、勃起不全になることがあるようです。泌尿器領域では、前立腺を摘出した際などに多いようです。

 

自転車
意外かもしれませんが自転車でもEDになる可能性はあるようです。硬いサドルがまん性的に会陰部(外生殖器と肛門との間)を圧迫すると血流や知覚の障害が起こります。

 

嗜好品
タバコや酒
タバコは陰茎の海綿体と血管の内皮障害を起こします。また酒については、少量ならば緊張をとるのに有効です。しかし、多量に摂取すると確実に悪影響のほうが多くなります。

 

薬剤
薬剤性EDの患者は、泌尿器科医も日常的に診察するそうです。特に注意するべきは、薬剤性EDの患者は、患者にも発症が分かりやすいため患者自らが薬剤をやめてしまうことです。もともと持っていた疾患が増悪する可能性もあります。薬剤性のEDの発現機序は良く分かっておらず、症例報告から薬剤が原因であると考えられています。

 

 - ED・経口薬